①会社の工具・材料等を窃取した事案で、保釈を経て、執行猶予判決を得た事例
②被告人は40代の男性で配線工事の会社に勤める会社員であったが、小遣い欲しさに、会社から特殊な工具や配線等の在庫品を盗み、それらを買い取りショップに持ち込んで現金化するという、窃盗行為を行った。被告人は、換金したお金のほとんどを趣味の競馬につぎ込み、費消してしまっていた。
被害金額は、400万円以上。
なお、被告人には前科前歴はなく、今回が初犯であった。
③被告人は、素直に犯行を認めて取り調べに協力する一方、初めての勾留生活で体調を崩しがちであった。幸い、被告人にはきちんとした帰住先(持家の自宅)があり、家族(両親、妻、子供達の7人家族)の協力も得られることから、起訴されると同時に保釈の申請を行い、両親が保釈保証金を納めて、身柄を解放してもらった。
その後、被告人本人と弁護士とで会社に謝罪に赴き、両親及び妻が工面した200万円を支払って、被害弁償の一部を行った(残りの金額については、被告人が今後5年間かけて分割して弁償する旨の示談書を取り交わした)。
今回の窃盗の原因がギャンブル(競馬)にあることは明らかであったため、夫婦でギャンブル依存を治療するクリニックに面談に行ったり、今後の被告人の休日の過ごし方について家族全員で話し合ったりするなどして対応策を考えてもらうなどした。
公判では、情状証人として出廷した妻に、それらの対応策について話してもらい、同時に今後の監督を誓ってもらった。
④懲役2年執行猶予4年の判決が言い渡され、実刑を免れることができた。