紛争の内容
ご依頼者の方は、すでにご相談の時点で勾留されており、国選弁護人が就任しておりましたが、国選弁護人の接見が数日間なく、家族に対しても何らの連絡もなかったことから、今後どうしたらよいかご相談を受けてご依頼いただきました。
ご相談いただいたその日に接見に行き、ご依頼いただきました。
事件としては、傷害罪(共犯)で逮捕勾留されている事案でした。

交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼者の方に早急に接見にいき、お話をお聞きしたところ、傷害事件にかかわったことはお認めの状態でした。
そこで、示談をすることができるかが大きなポイントとなりました。
示談は、被害者の方に弁護人と連絡をとってもよいという承諾をしていただかなくては、そもそも交渉自体をスタートすることができません。
示談交渉を行えるかどうかは不透明であることから、万が一示談が行えなかった場合に備えて、ご家族の方や職場の方が今後監督するなどの体制が整っていることを主張するための書面の作成なども行いました。
また、捜査担当検察官に対して、逐一状況を確認し、弁護人としての主張を行いつつ、接見を行い、ご依頼者の方のサポートを続けました。

本事例の結末
結果として、ご依頼者の方の家族のご協力があり、示談を行うことができました。
示談を行うことができ、さらに被害者の方に被害届を取り下げていただくことにも了承をいただいたため、これらを報告書してまとめて検察官に提示しました。
その結果、不起訴処分(起訴猶予)となりました。

本事例に学ぶこと
傷害事件など、被害者がいる事件では示談を行うことができるかどうかは極めて重要です。
現に、本件では、共犯者の方は示談を成立させることができませんでしたので、不起訴処分にはなりませんでした。
本件は、国選弁護人となかなか連絡が取れないことがきっかけでご依頼いただきましたが、このようなケースは少なからずあります。
弁護人の活動によって、結果が大きく変わることがありますので、少しでも今後の見通しに不安がある場合、まずは弁護士にご相談いただけますと幸いです。
本件のように不起訴になれば、前科がつかないため、今後の生活に大きな影響があるものと思われます。

弁護士 遠藤吏恭