紛争の内容
ご依頼者の方は、仲良くなった女性と一夜を共にして、性交渉を行ったところ、後日同意がなかったとして被害届を提出されて逮捕・勾留されてしまいました。
性交渉自体はあったが、決して不同意ではなくお互いの同意があったというのがご依頼者の方の認識、ご主張でした。
また、性交渉後にケガをさせられたという内容の被害届が出されたことから、「不同意性交等致傷罪」で逮捕されてしまいました。

交渉・調停・訴訟等の経過
本件で争点となるのは同意があったかどうかでした。
行為の性質上、密室で行われていたことから、同意があったかどうかを示す証拠は、被害者の方の証言がメインとなります。
他に証言をすることができる人や目撃者などがいないため、被害者の方の供述が信用できるかどうかが一番のポイントとなりました。
そこで、被害者の方の供述が信用できないという判断がされれば不起訴になると考え、弁護方針を固めました。
当初、「被害者はこういうようにいっていたから同意があった」という主張をこちらから積極的にすべきではないかとご依頼者の方はご心配されておりましたが、どういう発言があったかということはほぼ確実に被害者の方と食い違うことになります。
被疑者という立場上、裁判なら別ですが、捜査段階でそのような供述が信用されることは難しいと考えました。
そこで、客観的な状況、たとえば出会った経緯や部屋に入るに至った経緯、そのときの時間などこちらの記憶が客観的事実と整合する範囲で供述を行い、こちらの供述が相対的に信用性が高いと判断されることを狙いました。

本事例の結末
こうした弁護活動の結果、本件は不起訴となりました。
捜査機関は、有罪にできる証拠がそろっていると判断すれば起訴します。
本件では、こちらの供述と被害者の方の供述を比べた結果、有罪にすることができる証拠がそろっていないと判断されたものと考えられます。

本事例に学ぶこと
こうした否認事件では、どういった態様で取り調べに臨むか、こちらがどのような方針をとるかが非常に重要です。
適切な弁護活動をとることで不起訴となり、前科が付かないこともあり得ます。
特に否認事件では、このあとどうなってしまうのか大きな不安があるかと思います。
弁護士にご相談いただき、適切な弁護活動をすることで取り返しのつかない事態を避けることもありますので、まずはご相談ください。

弁護士 遠藤 吏恭