紛争の内容
ご依頼者の方は、強盗致傷で逮捕・勾留されてしまったため、ご相談いただき担当いたしました。
商品を万引きした際に従業員に追いかけられ、逃げようとした際にもみあいになり怪我をさせてしまったということで強盗致傷事件として疑われておりました。
ご依頼者の方は、怪我はさせていないとして否認しておりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
被害者の方が怪我をさせられたと供述していたため、強盗致傷事件として捜査がされました。
当初、自身が怪我をさせたのではないと積極的に主張した方が良いのではないか、とご依頼者の方はお考えでした。
しかし、捜査機関がどのような証拠に基づいて逮捕を行ったのはわからない以上、方針について慎重に検討する必要がありました。
そこで、さしあたっては取り調べに対して黙秘をしていただき、捜査機関から聞かれたことをもとに方針を検討しました。
今回、捜査機関から、被害者の供述があるから逮捕したのだという話があり、防犯カメラも見せられましたが、そこには明確に被害者の方を傷つけている様子が映っていないと判明しました(弁護人は防犯カメラの映像をみることができませんが、被疑者の方を通じて情報を得ました)。
被害者の方の供述のみが証拠となると証拠としては不十分な可能性があると判断しました。
そこで、捜査機関に対して黙秘を続けていただくことにしました。
証拠不十分として、認定落ちを狙うべき事案であると判断したからです。
本事例の結末
捜査機関に対して黙秘を続けていただいた結果、証拠不十分として強盗致傷では起訴されず、ご本人が当初から認めていた窃盗の限りで起訴がされました。
本事例に学ぶこと
強盗致傷として起訴がされてしまうと裁判員裁判という非常に大きな事件になっていたところでした。
裁判員裁判では、裁判員の選定などもあり裁判開始まで最低でも1年ほどかかります。
また、強盗致傷では最低でも6年の懲役刑となります。
今回、窃盗事件に認定落ちしたことで大きく量刑が変わりました。
被疑者段階の弁護方針でこのように大きく結果が変わることがあります。
弁護方針は、捜査機関が漏らした一言一言で変わることもあり、重大な判断となります。
このように大きな事件では適切な判断をすることができる弁護人のアドバイスが必須です。
大きな事件に巻き込まれてしまった場合、まずは弁護士にご相談ください。
弁護士 遠藤吏恭