紛争の内容
ご依頼者の方は、過去に覚醒剤使用で逮捕され、裁判が行われた経験があり、その際には執行猶予付きの判決がでました。
今回、再度覚醒剤を使用してしまい、逮捕勾留され起訴されましたが、今度こそ更生したい、社会復帰したいということで執行猶予付きの判決を得ることができないかとご相談を受けました。

交渉・調停・訴訟等の経過
覚醒剤使用の事件では、初犯の場合、執行猶予付きの判決が出されることが統計上多いです。
ですが、2回目以降は実刑となることがほとんどであり、執行猶予付きの判決を期待することは難しいと言わざるを得ません。
今回、ご相談者の方は事件については全面的に認めていらっしゃいましたが、やはり執行猶予付きの判決を得ることは難しいと説明させていただきました。
ですが、ご相談者の方は、前回の裁判から5年以上の月日が経過していたため、この点を評価していただくことを強く主張することし、執行猶予付きの判決を目指す方針で弁護活動をすすめました。
とはいえ、やはり執行猶予付きの判決を得るには高いハードルを乗り越える必要があります。
単に反省をしています、と伝えるだけでは足りないと判断し、できる限りの様々な主張を行いました。
まず、ご家族の方に今後の監督状況について述べていただくために証人として裁判所にお越しいただき、さらにご本人には薬物離脱のためのワークブックを作成いただきました。
他にも行ったことは数多くありますが、とにかく再犯の可能性が低いということを具体的な策とともに主張しました。

本事例の結末
こうした主張立証活動の結果、執行猶予付きの判決を得ることができました。
また、裁判前には保釈の許可を得ることもできましたので、裁判が終わる前にご自宅に戻ることができました。

本事例に学ぶこと
2度目の覚醒剤事件ということで、高い確率で実刑が見込まれる事案でした。
ですが、本事案特有の事情などを考慮して、できる限りの最善の主張立証を行えば、執行猶予付きの判決が得られることもあります。
個々の事案ごとに注目して、主張立証すべき事項は異なります。事案ごとに正確に判断し、弁護活動を行うことが重要です。
大切な方が逮捕されたなどの場合には、ぜひ弁護士にご相談いただけますと幸いです。
そのご判断で、大きく状況が変わることがあります。

弁護士 遠藤 吏恭