紛争の内容
被疑者の方は、覚醒剤の使用を疑われて逮捕、勾留されてしまいました。
尿検査を任意で行ったところ、覚醒剤反応がでてしまい、逮捕されました。
尿検査から覚醒剤反応が出てしまっているが、自身は身に覚えがないとのことで、否認事件として弁護活動を行うことになりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
当初、被疑者の方は自分が警察や検察に対して話すことはせず、取り調べに対しては黙秘を行うことがよいか、ともお悩みでした。
確かに、否認事件では取調べに対して黙秘をするというのが原則ではあります。これは、取調べでこちらの言い分を伝えても正確に伝わらない可能性もありますし、取調べが行われる被疑者段階では、捜査機関が証拠を集めることができるかどうかがポイントであるからです。
つまり、捜査機関が証拠を集めることができれば起訴されますし、証拠が不十分であれば不起訴となります。
そのため、黙秘をして、証拠不十分を狙うということが原則です。
しかしながら、本件では、すでに尿から覚醒剤反応がでており、覚醒剤使用の被疑事実については証拠が十分と言える状況でした。
ここから、不起訴を勝ち取るためには、証拠不十分を狙うのではなく、捜査機関に「覚醒剤が自身で摂取した以外の方法で体内に入ったのではないか」という疑念を抱かせるしか方法はありません。
そのため、今回は黙秘をしていては起訴される可能性が極めて高かったため、積極的にこちらの言い分を捜査機関に伝える方針で弁護活動をすすめました。
本事例の結末
捜査機関にこうした主張を続けた結果、不起訴処分となり勾留満期で釈放されました。
不起訴ということで前科もつきませんでした。
本事例に学ぶこと
覚醒剤使用が疑われている事件で、尿から覚醒剤反応が出ていることは、ある意味決定的な証拠であり、捜査機関としてはこれ以上ない証拠です。
こうした非常に厳しい状況からでも、身に覚えがないのであれば、安易に認めることは絶対に避けるべきです。
最善の策を選ぶことができれば不起訴になる可能性もあります。
大切な方が、覚醒剤使用を疑われてしまっている場合、まずは弁護士にご相談ください。
刑事弁護は初動が何より大切です。取り返しのつかない事態になる前に、ご相談いただけますと幸いです。
弁護士 遠藤吏恭