【保護観察中の窃盗非行事件を発生させた少年について、保護観察処分を得ることができた事例】

① 保護観察中であるにもかかわらず、窃盗(いわゆる万引き)を起こした少年について、少年院送致を回避し、保護観察処分を得ることができた事例
② 非行当時、10代後半少年。
  本人は、飲酒や喫煙、深夜徘徊などの非行事案で数度の補導歴があり、保護観察処分中であったものの、鑑別所に収容された経験は無かった。
  本件での鑑別所収容が、初めての身柄拘束であった。
③ この件では、少年院送致とされる可能性は十分にあり、警察の送検時の処分意見は少年院送致というものでした(但し、検察、家裁は、警察の意見には拘束されません)。
  そこで、少年及び親権者とともに次のような方針をとり、実際に実践してもらいました。
・反省文とともに、被害店舗には二度と近付かないことを誓約
・監督者である親権者に、被害店舗に謝罪に行ってもらうとともに、被害金を弁償。
(買い取り)
・監督者である親権者に家裁の少年審判に出廷してもらい、監督を証言してもらう。
  ・少年自身に、内省を深めさせ、生活態度を改める。
④ 調査官の意見は、「少年院送致も一つの考え方であるが、どのような処分が最適かは、審判時の親権者と少年本人の様子を見て決めたい」、という、予想できない内容でした。
弁護士と、少年・親権者は、上記③の対応をとり、そのことを示す各種証拠を家裁に提出しました。
また、絶対に審判当日には両親揃って来るよう指示し、審判に来た両親には弁護士から質問し、自分たちの態度にも問題があったことを認識してもらい、その改善策を考えてもらいました。
その後、家裁調査官と審判官は、他の事件と比較して長い時間別室で評議していましたが、このような対応が奏功し、少年院送致は免れ、保護観察処分を得ることができました。
 一概に、少年院送致が良い効果をもたらすとは言えず、本件の少年の場合は、社会内での更生が絶対に必要だと考えていました。
その意味で、社会内更生である保護観察処分が得られたことは、少年の再スタートにとって非常に良かったと思います。