■内容
報道によれば、東海道新幹線内で6月9日の夜、乗客の男女3人が刃物で殺傷された事件がありました。
被害者の男性は死亡したと情報もあり、殺人未遂容疑で22歳の男性が現行犯逮捕された模様です。
さて,刑法199条には、人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する、とされております。
無差別殺傷の事件では、過去の裁判においても、極めて身勝手で悪質な犯行であり情状酌量の余地はないとか、社会に与えた影響も大きいなどと評価されることが多く、殺人罪の中でも類型的に重い部類に入ると考えられます(例えば、介護疲れによる殺人と無差別殺人を比較すると、人の死という結果は同じでも、その悪質性の相違は感覚的にも理解できると思います)。
もし、このような事件の弁護をする場合、弁護人がどのような活動をするのでしょうか。
被害者に重大な結果も生じており、困難な活動となりますが、一般論として解説します。
捜査段階の活動として思いつくのは、以下のような活動内容です。
・接見(弁護人との接見は、捜査機関でも聞くことができません)
→私は可能な限り、その人に関する情報を聞き取ります。99.9というドラマで、主人公の深山のように「出身はどちらですか」から聞き取ります。
・家族等との面談
→一般的に、弁護士は、本人と家族の架け橋となります。
また、ご家族は本人をよく知っておりますので、例えば本人の性格や病気なども知る機会となります。
・医師などによる面談
→責任能力に関する記事でお話ししましたが、犯行時の精神状態は、責任能力の判断に影響します。
その内容や程度によっては、犯罪が成立しないこともあります。
そこで、精神科の医師などに出張してもらうなどして、本人の精神状態を医学的にも分析してもらうこともあります。
・本人の内省の促進
→家族や友人に手紙を書いてもらったり、書籍を差し入れするなどして、本人の内省を促します。
時間をかけて、被害者の立場に立って考えてもらいます。
・被害弁償の手伝い(謝罪)
→重大事件では、被害者の方やご遺族の方に謝罪を受け入れてもらえるのは難しいかもしれません。
しかし、本人に被害弁償する姿勢がある場合には、弁護人としても尽力します。
・その他、捜査機関対応や裁判所対応を行います。
必要があれば,捜査機関に対する抗議,裁判所に対する準抗告などを行います。
刑事弁護は、弁護人との信頼関係がとても大切になります。
お心当たりのある方は、迷わず当事務所までご相談下さい。