ストーカー行為等の規制等に関する法律により、つきまとい等行為とストーカー行為について禁止命令等が定められています。
つきまとい等行為とストーカー行為
◆つきまとい等行為とは
ストーカー行為等の規制等に関する法律(以下、ストーカー規制法といいます)第2条1項によって、「つきまとい等」行為が、次のように定義されています。
ア 特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、
イ 当該特定の者又はその配偶者、直系もしくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、
ウ 次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう
① つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下、「住居等」という)の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けること
②その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
③面会、交際その他義務のないことを行うことを要求すること
④著しく粗野又は乱暴な言動をすること
⑤電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにかかわらず、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること
⑥汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと
⑦その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと
⑧その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、
又は、その性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くこと
◆ストーカー行為とは
「つきまとい等」行為を同一の者に対し反復してすることを「ストーカー行為」といいます。
ただし、「つきまとい等」の定義に挙げた行為のうち①~④の行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限られます。(以上、ストーカー規制法第2条2項)
「ストーカー行為」に対しては罰則があり、法定刑は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金です(ストーカー規制法13条1項)。
警告と禁止命令等
◆警告とは
次の要件を充たす場合に、警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長(以下、警察本部長等という)は、つきまとい等行為をする者に対して、つきまとい等行為をしてはならない旨の警告をすることができます(ストーカー規制法第4条1項)。
ア つきまとい等をされたとして当該つきまとい等に係る警告を求める申し出があった場合に
イ 当該申出に係る行為が、
①つきまとい等行為に該当し、
かつ、
②その相手方に身体の安全、住居の平穏若しくは名誉を害し、又は行動の自由を著しく害する不安を覚えさせるような行為であり、
ウ 当該行為をした者が更に反復して当該行為をする恐れがあると認めるとき
◆禁止命令等
次のア及びイの要件を充たす場合に、公安委員会は、つきまとい等行為をする者に対して、
①つきまとい行為等をしてはならないこと
②つきまとい行為等が行われることを防止するために必要な事項
を命じることができます(これを禁止命令等といいます。ストーカ規制法第5条1項)
ア警告を受けた者が、当該警告に従わずに、相手方に身体の安全、住居の平穏もしくは名誉を愛し、又は行動の自由を著しく害する不安を覚えさせるようなつきまとい等行為を行ない
イ当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるとき
そして、つきまとい等行為をしてはならないという①の禁止命令等に違反する
ストーカー行為、もしくは、つきまとい等行為については、
1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金という法定刑が定められています。
弁護活動のポイント
自らの刑事責任を認める場合は、速やかに示談交渉をすることが必要になります。
つきまとい等行為の被害に遭われた方は、加害者の方に対して強い恐怖心を抱いていることが多いので、弁護士が間に入り、適切な再発防止策を提示し、被害回復のための示談金のお支払いを提案することが重要です。
そして示談金については、金額が交渉で上手くまとまらないことが多いため、弁護士が民事裁判の裁判例に照らして、妥当な金額を提案することが、解決の近道になります。
自らの刑事責任を否認する場合は、
①自らが犯人でないことを主張する
②相手に指摘された自らの行為が、先に挙げた「つきまとい行為等」や「ストーカー行為」の定義に該当するか否かを精査し、自らの行為がこれらの行為には該当しないことを主張する
等の弁護活動を行うことが肝心です。