残念なニュースがありました。
フィギュアスケート男子、2014年ソチ五輪銅メダリスト、デニス・テンさんが、母国で2人組に刺殺されたというニュースです。
一部報道によると、2人組は、デニス・テンさんの自動車のミラーを盗もうとしてトラブルになり、ナイフで刺されたというものです。
事実関係は定かではありませんが、日本の刑法に照らすと、強盗殺人罪又は(事後)強盗致死罪に当たる可能性があります。
※事後強盗とは、窃盗を働いた人が、逮捕されるのを免れるために、人を暴行・脅迫した場合に成立します。通常の強盗が、財物を取る目的で暴行・脅迫を加え、財物を奪い取ることを指すので、暴行・脅迫の時期と目的が異なりますが、法定刑は同様です。
どのような法定刑が定められているのかというと、刑法240条後段では、「強盗が、人を…死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。」とされています。
強盗致死罪には、罰金、懲役◯年、などといった刑罰はそもそも用意されておらず、死刑か無期懲役か、という最も重い二つの刑罰しか定められておりません。死刑は生命を奪う極刑ですし、無期懲役は長らく刑務所で過ごすことになるので、いかに重い罪であるか、ご理解いただけると思います。
今回の時間でも、もし2人組の内、1人しかナイフで刺していないとしても、2人組に(事後)強盗の現場共謀が認められれば、残るもう1人にも同じように強盗致死罪が成立する可能性は高いと思います。
なお、一部報道によれば、犯人は20代前半だったようです。
被害者の方は言うまでもありませんが、事情はともあれ、犯人側にも何も良いことはないのではないでしょうか。
犯罪が、いかに虚しく、誰も得をしない悲しい出来事であるかを考えさせられる事件でした。
最後になりますが、デニス・テンさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。