飲酒運転はなかなか減らず、当事務所にご相談いただく人も多いように思います。
そこで、飲酒運転に関する知識をまとめておきます。
飲酒運転の行政処分
1.酒酔い運転
※「酒酔い」とは、「アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態」。
•基礎点数35点
免許取消し 欠格期間3年(※)
2.酒気帯び運転
•呼気中アルコール濃度0.15mg/l 以上 0.25mg/l 未満
⇒基礎点数13点、免許停止期間90日(※)
•呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上
⇒基礎点数25点、免許取消し・欠格期間2年(※)
(※)前歴及びその他の累積点数がない場合。前歴などがあればもっと厳しい処分となります。
(※)欠格期間とは、運転免許が取り消された場合、運転免許を受けることができない期間
飲酒運転の刑事罰
車両を運転した者
•酒酔い運転をした場合
⇒5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
•酒気帯び運転をした場合
⇒3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
車両を提供した者
•(運転者が)酒酔い運転をした場合
⇒5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
•(運転者が)酒気帯び運転をした場合
⇒3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
酒類を提供した者又は同乗した者
•(運転者が)酒酔い運転をした場合
⇒3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
•(運転者が)酒気帯び運転をした場合
⇒2年以下の懲役又は30万円以下の罰金
飲酒運転はなぜ危険か?
飲酒運転の死亡事故率は飲酒なしの8.4倍(平成28年中)だそうです(警視庁発表)。
アルコールは、自分で大丈夫であると思っても、脳の機能を麻痺させます。
「酔う」とは、血中のアルコール濃度が高くなることにより、大脳皮質(理性や判断を司る部分)の活動をコントロールしている大脳下部の 「網様体」が麻痺した状態を言います。
お酒に酔うと、顔が赤くなる、言葉が多くなる、視力が低下するなどの変化が現れ始め、さらに知覚や運転能力を司る部分が抑制されることにより、同じ話を繰り返したり、足元がふらついたりします。
このように、飲酒時には、脳が麻痺して、安全運転に必要な情報処理能力、注意力、判断力などが 低下している状態になります。
飲酒運転で捕まった人の末路
当事務所の弁護士が扱った一例を書いておきます。
Aさんは、JR川口駅付近で同僚と飲酒して、帰りは代行で帰ろうとしていました。ところが、飲みすぎてしまい、気が付いたら、代行を呼ばず自分で運転していたそうです。飲みすぎてしまうと、このように判断も鈍くなります。
Aさんは、運転して1キロほどで、ガードレールに衝突してしまいました。警察が駆け付けましたが、飲酒検知をしたら、呼気中アルコール濃度0.5mg/l ということで、そのまま逮捕されてしまいました。
Aさんは、逮捕された日と翌日は、誰にも連絡がとれず、仕事を無断欠席しました。
もっとも、家族からのご相談で当事務所弁護士が、「勾留をされないように活動」した結果、勾留は回避することができました。
その後Aさんは、複数回取調べに呼ばれ、裁判にかけられ、懲役刑(ただし、執行猶予3年)の判決を受けました。その他Aさんの身には色々とありましたが・・・
飲酒運転で捕まったAさんの末路まとめ
・懲役刑を受けて前科1犯(執行猶予でも前科となります)
・免許取り消し、欠格期間(免許をとれない)2年
・会社を懲戒解雇
・車が大破
・保険で修理するも等級下がり保険料が上がった
このように、飲酒運転というのは、社会的にも経済的にも厳しく処分をされてしまう可能性があります。皆様においては、飲酒運転をなさらないよう十分に気を付けてください。