6月1日から被疑者国選弁護制度の対象事件が拡大されました。

被疑者国選弁護制度とは、起訴前の段階で捜査機関から身柄拘束を受けている(=被疑者勾留状態にある)被疑者について、捜査段階から国選弁護人を選任することによって、被疑者が弁護人の援助を受ける権利を実効的に担保するものです。

従前は、刑事訴訟法の条文上、「死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮にあたる事件について被疑者に対して勾留状が発せられている場合」と被疑者国選弁護制度の対象となる事件が限定されていました(そのため、暴行や脅迫といった一部の犯罪は被疑者国選弁護制度の対象ではありませんでした)。

しかし、被疑者国選弁護制度に関する刑事訴訟法の改正法が平成30年6月1日に施行されたことにより、条文上も、「被疑者に対して勾留状が発せられている場合」と被疑者国選弁護制度の対象となる事件についての限定がなくなりました。

これにより、被疑者勾留状態にあるすべての被疑者について被疑者国選弁護人の選任の機会が与えられたことになります。
なお、被疑者国選弁護制度の対象事件が拡大されたからといって、事件について、必ずしも被疑者国選弁護制度を利用しなければならないというわけではなく、引き続き、私選弁護士を選任することができます。