紛争の内容

現金を窃取しようとしたが自らの意思で犯行を中止した事件で、起訴をするかしないかについて処分を保留されたまま釈放になったケース

交渉・調停・訴訟などの経過

被疑者の方は、被害者の方の現金を窃取しようとしたが、途中で盗むのはかわいそうだと思い犯行を中止した、と供述していました。刑法第43条但書によれば、自分の意思で犯行を中止した場合は(中止犯と言います。)、刑は減軽されるか免除されますので、この供述が正しければ、被疑者の方の刑も減軽されるか免除されます。
本件では、被害者の方が、中止犯の成立を否定するような発言をしておりましたが、被疑者の方の供述のほうが信用できましたので、取り調べでは自分の意思で犯行を中止した旨を主張するよう、弁護士は被疑者の方にアドバイスしました。

本事例の結末

起訴をするかしないかについて処分を保留されたまま、被疑者の方は釈放されました。このように処分保留のまま釈放されるという結果は、起訴されない可能性のある事件の終わり方です。

本事例に学ぶこと

刑法第43条但書の中止犯の成立が問題となる事件の扱いについて学ぶことができました。