紛争の内容
窃盗の前科,前歴が多くあり,直近にも,懲役2年・執行猶予3年の判決を受けていた方が,その後,窃盗を100件近く繰り返した末に,逮捕,起訴されました。
交渉・調停・訴訟などの経過
被害弁償や家族の援助については絶望的でしたが,窃盗に至る経緯等を中心に聞き,食事をするためにやむを得ずに犯行に及んだことや,物を壊したりすることなく盗むという態様について悪質性を下げる要素を説明しました。
本事例の結末
前刑が懲役二年であり,執行猶予判決の直後から,多数の窃盗を繰り返し,被害金額も多額であったため,中長期の懲役刑もあり得る状況でした。しかし,今回は,前刑よりも被害額等は大きかったにもかかわらず,前刑よりも軽く,懲役1年4月の懲役刑にとどまりました。
本事例に学ぶこと
窃盗罪は,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金という刑罰があります。
また,執行猶予中の犯行では,再度の執行猶予が付く確率はかなり低く,厳格な要件(特に有利な情状があり,かつ1年以下の懲役等の言渡しを受ける場合)があります。
従って,執行猶予中に犯行に及んだ場合、実刑となる可能性が極めて高いことは覚えておくとよいかもしれません。