事件の内容
深夜に未成年者(当時15歳)を自宅に招き入れ性行為をした行為について不同意性交等・青少年健全育成条例違反の被疑事実で逮捕された国選弁護人として、弁護活動を行うことになりました。
国選弁護人は、資力が乏しいとの理由から刑事事件の手続において国(裁判所)が選定した弁護人のことをいいます。
刑法177条3項では、「16歳未満の者に対し、性交等をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。」と定められております。
また、東京都青少年健全育成条例15条の4第2項では、「何人も、保護者の委託を受け、又は同意を得た場合その他正当な理由がある場合を除き、深夜に青少年を連れ出し、同伴し、又はとどめてはならない。」と定められております。
上記規定は、被疑者が、相手方の年齢を「16歳未満であること」を認識した上で犯罪行為に該当する行為をした場合、故意が成立します。
つまり、当時、相手方の年齢が「16歳未満」とは知らなかった場合には、故意が成立しません。

本事例の結末
まずは、初回接見し、事情を詳しく把握した上で、今後の弁護活動について方針を決めました。
聞き取りの結果、被疑者本人が、被害者との会話(実際に、「18歳」と聞いた)や容姿を見て、「18歳」だと信じてしまい、まさか16歳未満だとは思わなかった。同意の上で性行為をした)と供述したことから、自らの犯罪行為を否認しました。
弁護人としては、被疑者の意思を尊重し、今後の取り調べの際に黙秘をすることなく、同じ内容(主に、被害者との会話(実際に、「18歳」と聞いた)や容姿を見て、「18歳」だと信じてしまい、まさか16歳未満だとは思わなかった)を供述し続けるようアドバイスしました。
その結果、弁護活動が実を結び、不起訴処分が決定されました。

本事例に学ぶこと
性犯罪は被害者に与える精神的苦痛や社会に与える影響度等の理由から極めて重い刑罰が科されます。
たしかに、本当に被疑事実に該当する犯罪行為をしたのならば適正な処罰を受けるべきであります。
しかしながら、本件のように無実を主張できるほどの証拠・主張が揃っている場合には、無罪主張をし続けることのメリットは十分にあります。
「身の回りの人が警察に捕まってしまった」、「警察から取調べを受け近日中に逮捕されるかもしれない」などのお悩みを持たれる方は、まずは弁護士にご相談ください。

弁護士名 安田伸一朗