① 所持金がないにもかかわらず、飲食して代金を支払わなかったいわゆる無銭飲食詐欺について、飲食代金を支払って示談をした結果、不起訴とすることができた事例
② 被疑者は、50代の男性でした。
勤務先の近所にある個人経営の飲食店で、所持金がないにもかかわらず5000円程度相当の飲食を行った結果、詐欺の現行犯として逮捕されました。
当事務所弁護士は、国選弁護人としてこの件を勾留後から担当することになりました。
③ 接見に行き、被疑者とは、①親族を通じて示談すること、②親族が拒否した場合には勤務先の当月分給与の一部を預かって示談すること、という方針を決めました。
方針に従って親族に連絡をしてみましたが、親族からは、示談への協力は拒否されました。
そこで、弁護士が被疑者の勤務先に連絡し、当月分給与の一部の支払いを受け、そのお金を被害店舗に支払って示談をすることになりました。
幸い、勤務先の代表者は理解して下さり、弁護士が行ったその場で、当月分給与の一部を支払って下さいました。
その足で近隣にある被害店舗に行き、被疑者が認めた反省文とともに代金相当額を支払い、示談書を取り交わし、被害届の取り下げ書を作成して貰いました。
④ それらを検察官に提出し、不起訴とすべきとの意見書を提出した結果、被疑者は、その日に釈放されました。
なお、検察官から、「国選(弁護人)の先生は、普通、ここ(会社に行ったりするところ)まではやりませんよ」と褒められた(?)のが印象に残っています。
検察官の言葉はともかくとして、被疑者の反省、被害者に適切な賠償を受けて貰うこと、そして、被疑者に社会復帰して更正してもらうこと、これらが刑事弁護の中で大切なことではないかと考えています。