紛争の内容
飲食店内で双方お酒を飲んだ夫婦が喧嘩になり,もみ合った際に,妻に怪我をさせたため,110番通報され,逮捕・勾留されました。しかし,被害者とされる妻においても,夫が逮捕・勾留されたことに困っておりました。
交渉・調停・訴訟などの経過
まず,本人と面会した上,奥様と面談し,これまでにDV等の事情もなく,一刻も早く帰ってきてほしいと願っていたため,嘆願書を入手し,検察官に釈放を促しました。しかしながら,検察官は真実を解明する必要があるとして,妻の嘆願書があるにもかかわらず,釈放の判断を即断しませんでした。そこで,裁判所に判断をゆだねることとし,すぐに準抗告(勾留決定を取り消すよう求めること)を行い,裁判所合議体の判断を仰ぎました。
本事例の結末
その結果,裁判所としては,勾留の必要性が乏しいと判断し,検察官の請求を退け,釈放をさせることとした決定を行いました。
無事,本人は釈放され,奥様のもとに戻ることができ,仕事を失うこともありませんでした。
本事例に学ぶこと
勾留し,身柄を拘束するためには,勾留の理由(逃亡したり罪証隠滅したりするおそれ等)や必要性が求められます。事案によっては,それらの理由,必要性がない,あるいは乏しいことも多く,また,弁護人の活動如何によって,これらの事情は,勾留決定後にも変動します。
形式的に犯罪に該当する行為があったとしても,被害者の意向その他様々な事情に鑑みて,勾留する必要がない場合もありますので,勾留決定が出てしまっているからとあきらめずに,一度ご相談下さい。