・横領罪について
⑴ 横領罪は、他人の委託に基づいて物を占有している者が、委託の任務に背いて、その物を処分(領得)する場合に成立します。例えば、知人から預かったものを勝手に売ってしまった場合です。また、会社で経理を担当する者(金銭保管業務をする者)が、会社のお金を無断で持っていってしまうという場合は、より重い業務上横領罪となりえます。
⑵ 占有離脱物横領(遺失物横領)罪というのもありますが、これは、例えば、落ちていたお金を拾って自分の物にしてしまったり、誰も使っていない放置自転車を持っていってしまう場合です。
⑶ 横領罪の法定刑は、5年以下の懲役です。また、業務上横領罪は、10年以下の懲役です。遺失物横領の場合は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金若しくは科料となっています。
・弁護活動のポイント
横領罪には、罰金刑が規定されていませんので、起訴されて有罪となると、実刑判決(執行猶予付)となります。したがって、起訴を避けるためには、早期に被害者と示談することが重要です。
もし捜査段階で被害者と示談することができれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
示談は、相手の被害感情を考えると直接被疑者が被害者と交渉を行うのは難しく、示談ができたとしても不相当に過大な金額での示談解決になる可能性が大きいと考えられます。
一方、弁護士を通じれば、冷静な交渉により妥当な金額での示談解決が図りやすくなります。